第11章 帰宅後
何、この、浮気がバレたみたいな状態。
別に私と月島さんは付き合ってない。
それどころか、私はフラれた側だ。
何を、どう答えたら正解なんだ。
「リエーフは、友人です。雑誌、見ましたか?あの撮影の時に仲良くなりましたけど、それ以来会ってはいません。
この写真は、その日に駅まで送って貰った時のものです。」
取り合えず、真実だけを言葉にする。
月島さんは、納得していないのか、表情を更に歪めた。
「ふーん…?会って‘は’いないの?」
「…連絡は来るので。…あ。」
言葉の綾だ、と言い訳も出来ず、誘導尋問に引っ掛かった。
自分の単純さが恨めしい。
「君ってさぁ、顔しか見てないんじゃない?相手モデルだし、色男だもんね。僕の事も、顔だけが好きなんデショ?」
その、美しいお顔が現在崩壊しかけているのを自分で分かっているのだろうか。
般若並みに恐ろしい表情をしている。
怖くて、言い返す事が出来ない。
「考えてやっても良い、って言ったよね?せめて、シンデレラ期間が終わるまでは、他の男にフラフラするの止めてくれない?正直、不愉快だから。」
言いたい事は終わったのか立ち上がる月島さん。
何も言えないまま、帰っていく姿を見送った。