第9章 トレーナーと管理士
2人の会話は、私にとって最も不都合な結果で終わる。
それは…。
「出来るかどーか、試してから文句言え!」
「やらなくても結果が見えている事をして、りこさんが体壊したらどうするんですか?」
「やってみなきゃ、分かんねーじゃん。りこ、やるよな、な?」
と、いう事態である。
光太郎に着替えを促され、外に出る事になった。
京治くんにもうちょっと、粘って頂きたいところだったけど、矛先が私に向いてしまって諦めたようだ。
ジャージに着替えた私達が向かったのは、ランニングコースのある広い公園。
勿論、光太郎は私の横を走る気満々なんだけど。
京治くんの方は、レンタルサイクルで自転車を借りてきた。
「あかーし!お前も走れよー!」
「俺の仕事はトレーニングじゃありませんから。それに、いくら頑張っても木兎さんには勝てないので、使わせて下さい。」
なんとも謙虚な後輩のフリをして、光太郎を煽っている。
「そうかそうか!俺には勝てないからチャリなのか!よし、この俺の見事な走りよく見とけ!」
それでやる気を出した光太郎は、ランニングである筈なのに短距離走並みのスピードで駆け出した。