第9章 トレーナーと管理士
光太郎は私の幼馴染みで、高校生くらいの頃に、何故か紹介された後輩が京治くん。
まぁ、紹介って言っても彼氏候補とかではなく、純粋に大切な後輩だからって事らしい。
因みにリエーフの一件の時、ある人、と表したのは光太郎だ。
つまり、思い込みで突っ走る系の男である。
コイツがトレーナーだとなると、嫌な予感しかしない。
「…で、なんだ?その、シンデレラ企画でりこはキレーになる、と。」
「だから何度も、そう言ってます。」
「じゃ、メニューはコレな。」
「それはアスリート向けですから、一般人の、しかも女性には無理だと何回言ったら分かるんですか。」
2人でやり取りする最中、私に向けて出された1枚の紙。
どうやら、トレーニングメニューのようだけど、ランニング2時間から始まり、腕立て伏せ100回だとか、有り得ない数字が並んでいる。
「俺ならラクショーだから、誰でもこんくらい出来るだろ。」
ほら、やっぱり。
自分が出来るから人も出来る、そんな思い込みをしてるんだろうと思ってたよ。
「アンタの体力と女性の体力を一緒にしないで下さい。」
「だから、俺のメニューより少なくしてんだろ?」
「これで減らしてるつもりですか。」
私を置いてきぼりにした2人の話は終わりそうもない。
呆れで溜め息が漏れていた。