第39章 サプライズ
中止した筈の撮影を再開するなんて、周りからしたら迷惑極まりない。
平謝りするしかないと思っていたけど、サプライズ系の撮影にはトラブルが付き物みたいで。
驚かせる相手が思った以上に怒ったりして、放送事故並みの暴言やら撮れてお蔵入りもあるらしく。
誰一人、気にしてはいなかった。
気楽な感じの周りの空気に安心して、レストランの個室へもう一度入る。
さっきと同じ席に座って、撮影が再開された。
一応、現在のシンデレラが中々戻らない事を心配する素振りをする。
その中で、個室に入ってきた力さん。
「…力さん?あの、撮影始まってますから…。」
まだ、街歩きだと信じている顔はしておく。
「りこ、実は、今日の撮影、街歩き番組じゃないんだ。」
力さんの方も会話は合わせてくれて、目の前の席に着いた。
「じゃあ、何の撮影なの?」
気付かないフリは、まだ継続。
さっきと同じなら、また先の事を考えているか聞かれる筈だ。
「俺が、りこに話したい事があるんだ。」
「…え?じゃあ、それは撮影が終わった後にでも…。」
展開が違った感じになっていて反応が遅れたけど、これくらいは許容範囲みたいで、撮影は続いている。
「それが、この撮影の目的なんだよ。」
次の言葉は、きっとプロポーズ。
そう思うと、こっちまで緊張してきて言葉が返せなかった。