第39章 サプライズ
テーブルの上に箱が置かれる。
車の中で見たアクセサリーケース。
「りこ、受け取って貰える?」
中身は勿論知っているし、返事もイエスだから頷いた。
箱を手に取る。
これを開けて、中の紙を読んだら驚いた顔でもすれば良いかな。
演技をするつもりだったのに、開けてみたら本当の驚きが待っていた。
中身は、あの結婚してくださいって書いた紙じゃなく…。
「…指輪。」
思わず口から漏れた、それが入っていたから。
「俺と結婚してください。」
紙に書かれていた筈の言葉は、声となって耳に届く。
自分自身、驚いているのか、喜んでいるのか、分からず。
「…あ、えっ…。」
大いにパニックを起こして言葉にならない声を出している。
「返事、聞かせて貰って良いかな?」
私とは対照的に、力さんの方は冷静だ。
車から降りた時に掛けた言葉で、もう私の答えを分かってるんだ。
気付かれていると思うと、恥ずかしさまでプラスされて、声が出ない。
コクコクと何回も頷いて返事をするので精一杯だった。
その瞬間、辺りからクラッカーの音が鳴り響き、隣の部屋で待機していたらしい社長とシンデレラが入ってくる。
口々に祝福の言葉を掛けられて、誰に対して反応すれば良いのか分からず。
その後、数分間は私のパニック状態が続いていた。