第39章 サプライズ
最後に辿り着いたのは、完全予約制のレストラン。
当初から私を使うのが決定していたのを示すように、あっさりと人数変更に応じて通してくれた。
個室になっている場所で、撮影の準備をしている最中。
シンデレラが社長に呼ばれて席を外した。
それが、いつまで経っても戻って来ない。
撮影の準備は完了しているのに、いつまでもスタッフを待たせるのも申し訳ない。
「私、彼女を探して来ますね。」
席を立とうとしたけど、それはスタッフに止められた。
その上、撮影開始の合図がされてしまって戸惑う。
それからすぐに、扉が開いて。
戻って来たのかと思って、安心したのも、ほんの少しの間だった。
「…ち、力さん?」
入ってきたのは、シンデレラじゃなくて、この人だったから。
撮影中に割り込むなんて、そんな邪魔になるような事をする人じゃない。
照島社長なら、やりそうだけど、この人は絶対にしない。
しかも、撮影を中止する合図なんかも何も無く。
意味が分からなくて、キョロキョロと周りを見回した。
「りこ、こっち向いて。」
声と共に聞こえたのは、椅子が動く硬質な音。
それが静かな部屋の中に響き、緊張を表すように肩が跳ねて体が強張った。