第39章 サプライズ
私の彼氏は多忙だ。
職業柄、シンデレラと一緒に地方でお泊まりなんかも、よくある話だ。
私自身も、シンデレラだったけど、その当時に手を出された事はないし。
マネージャー業をやっている彼とシンデレラが、どうこうなる事はないって信じている。
それが出来なきゃ、業界人とお付き合いなんか無理だ。
そんな建前はあっても、やっぱり嫉妬はしてしまうもので。
自分の仕事が休みの日は、撮影に同行させて貰ったりしていた。
見張るような行動は重いかと思ったけど、現在のシンデレラが、私の気持ちを理解してくれていて。
元シンデレラの私が居ると、困った時に相談出来るから安心だ、とか言ってくれた。
お陰で、土日祝の撮影は私が行く事が当たり前になっている。
今日も今日で、私の会社が休みで、撮影の予定がある。
当然の事として、迎えに来た力さんの車。
それに乗って、目的地に向かった。
だけど、少しの違和感がある。
いつもなら、シンデレラの迎えも力さんがしていた筈なのに、私だけを乗せて撮影場所に着いてしまったのだ。
そこで降りた時、強まる違和感。
普段の撮影には興味がなく、たまに顔を出す程度の事しかしない、あの社長が、その場所に居た。
どうやら、シンデレラの方の迎えは社長がやったみたいだ。
それが変だと言おうとした時、社長の口から衝撃的な発言が飛び出す。
「力ちゃん、大熊りこに話つけてるよな?今日の撮影に出てくれって。」
それを聞いた瞬間に、私の体は固まった。