第7章 お披露目の日
司会をしているアナウンサーに、立ち位置へ案内されても周りへの興味が押さえられず、つい頭まで動かしてしまっている。
「そこのジミー!キョロキョロすんな。」
私の行動を止めたのは、社長の声だ。
ジミーって、何だ。
男の名前みたいじゃないか。
こんな場で抗議をする余裕は無く。
その余裕の無さに苛立つ気持ちもあって、声の主に睨むような視線を向けるだけで済ませた。
ここから先の記憶は、殆どない。
今まで見ていた番組の進行と同じなら、私の紹介をされて、一言だけ挨拶をした筈だ。
後から社長に、噛みすぎ、だと笑われたから全く喋れなかった事はない。
あの優しい縁下さんでさえ、苦笑いしかしてくれなかったとか、相当な事をやらかしたのは想像出来る。
とにもかくにも、撮影は終了して、放送日を待つ事になった。
その、放送日。
事前の番宣やら、ネットニュースには。
‘1年シンデレラ史上初!?’だの。
‘今年のワンデレラは正に灰被り’だの。
余計な注目を集める記事が並んだ所為か、お陰か。
ある意味で有名な、1年シンデレラが誕生した。