第38章 関係を変える嘘
その所為で、事態は最悪の形で知られる事になる。
本日は、仕事が終わったら一さんがご飯を食べに来るそうで。
キッチンで料理をしていると、玄関の方から音がした気がした。
視線は向けてみたけど、変わった様子は無いから放置して、食事を完成させると一さんを待つ。
それから少ししてインターフォンの音が鳴った。
来客が誰かは分かっているけど、最近の出来事を考えると油断は出来ない。
ドアスコープを覗いて見ると、そこには一さんが立っていた。
だけど、様子が変だった。
視線が何かを見るように下に向けられている。
不思議に思って、声掛けもせずにドアを開けようとしたのに、重い物が引っ掛かって開かなかった。
「一さん?ドア押さえてる?」
「や、押さえてねぇよ。何か荷物が置いてあんだが、りこのじゃねぇのか?まぁ、取り敢えず退けるわ。」
言葉の通り、何かを引き摺るような音がしてドアが開く。
置いてあったものを確認するように下を見ると段ボール箱だった。
「これ、どうするよ?」
「何か分からないし、開けない方が良いと思う…けど。」
「けど?」
「あ、いや。その…。こんな大きな荷物、ここに置きっぱなしは邪魔だなって。」
これは、きっと近頃あった贈り物の主と同じ人間が置いていったんだと思う。
つい口から出た覚えがある風の言葉に反応されてしまって、慌てて誤魔化した。
「何を慌ててんだよ?お前、隠し事してねぇか?」
そんなもの、意外に勘の良い一さんには通用しなくて、話す事を強制するように頭を掴まれる。
あの痛みだけは味わいたく無くて、話さずにおいたストーカーの件を喋ってしまった。