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【HQ】1年シンデレラ

第38章 関係を変える嘘


岩泉さんからも説教がある訳でもないみたいで、気まずい沈黙の時間が続く。
その間も、ずっと眉間に皺を寄せているから、怒っている事だけは確実である。

「…ご、ごめん、なさい。」

静かな時間に耐えられず、やっと開いた口から出せたのは、謝罪の言葉だけで精一杯。
それによって、眉間の皺が深くなったから、いよいよ怒られる事を覚悟する。

「…お前、自分が何か悪い事したって思ってんのか?」

だけど、強い言葉は無かった。
謝罪の意味が分からないのか、心底不思議そうにしている。

嘘を吐いて呼び出していた事を怒っている訳じゃないと気が付いた。

「あ、えっと…。岩泉さん、さっきから機嫌悪そうなので…。」

それならば、わざわざ自分から言わなくてもいい。
誤魔化そうとして、出した言葉は逆に地雷だったみたいで。

「…あ?それで、取り敢えず謝っとけってやつか?」
「や、違います!あの、私、嘘吐いてたから!それで、怒ってるんだと思って!」

今度こそキレられてしまうと思った時には、口がペラペラとボロを出していた。

「やっぱ嘘だったんだな?」
「…あ、その。あの…。」

確認の声が低く聞こえて、萎縮して上手く言葉が繋げない。
嘘を重ねられそうに無いから、何度も頷いて肯定した。

息を吸い込む音が聞こえる。
怒鳴られるのが分かって、目をキツく閉じた。
だけど、次に聞こえたのは息をそのまま吐き出す音で。
更に、肩に暖かい重みが乗っかってくる。

どんな状況か確かめるように目を開くと、重みの元は岩泉さんの頭だった。
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