第36章 ドラマみたいに…(月島エンディング)
月島さんの眼が、私の事をじっと見ている。
瞳に映る自分を見たって表現があるけど、私の場合は月島さんの眼鏡に映っている。
それは当然ながら、瞳に映るよりも若干鮮明で。
鏡ほどではないけど、自分の姿を認識すると、浮かんできた言葉。
‘君の家、鏡あるの?’
この人が吐いた最大級の暴言。
こんな事を言った人が、告白してくる訳がない。
「…月島さん、私の顔、嫌いでしょう?」
疑念が膨らんで、信じない意思を伝える。
すると、月島さんが離れていった。
程よく距離が取られると、はっきり分かった表情は不愉快そうに眉が寄せられている。
「僕、君の顔、嫌いって言った事ないよね。」
「鏡あるか聞くのって、そういう意味でしょう?」
「君、バカなの?あの時、自分の事悪く言ってなかったっけ?否定したかったって分からない?」
「でも、社長の前で、はっきりブスって言いましたよね?」
「シンデレラの志望動機、それで通ってるなら、ノってあげたんだけど。自分で、そういう嘘書いたクセに傷付いちゃうんだ?」
否定されても俄には信じがたくて、疑う理由を述べても、全てサラっと返されてしまった。
「…もしかして、私、とんでもない勘違いしてました?」
「してたんじゃない?」
月島さんの言うように、容姿を悪く言った後の返しでの鏡発言なら、確かに違う意味になる。
1年のシンデレラ生活は、この勘違いから始まっていたのだと知った。