• テキストサイズ

【HQ】1年シンデレラ

第36章 ドラマみたいに…(月島エンディング)


また溜め息が聞こえて、近付いてくる顔。
耳元に寄せられた唇が動いて鼓膜を震わせる。

まるで、ドラマを再現しているみたいだけど、聞こえたのは…。

「さっきやってたドラマ見たよ。ラストのシーン、何回くらい撮ったの?」

僅かに怒りを感じる低い声。
ロマンティックも何も、あったもんじゃない。

あまりに大根過ぎて、観てても不快だったって言いたいのかな。

キスシーンで顔を逸らしたりしちゃって、何回も撮り直したのはお見通しみたいだ。

確か、撮影中、最多のNG貰ったような覚えがある。
そんなに出来ないなら、キスは無しにしようかって案もあったけど、社長に却下されたんだっけ。
それで、8回くらいはやり直したような…。

無意識の内に手は回数を数えるように、指を折り曲げていた。
数え終えて指の動きが止まった時、その手を掴まれる。

「そんなに何回もキスしたんだ?君、イケメン好きだもんね。格好いい俳優さんだったから、わざとNG出したんじゃないの?」

掴まれた手に力が伝わってきた。
痛みを感じるくらい、強い力を込められている。

する前にNGになるから、キスをしたのは1回だけだ。
言い訳がましい言葉を口から出そうとしたけど、唇が開けない。
生暖かくて柔らかい何かが口を塞いでいた。

開いたままの目に映るのは、近すぎて滲んでいる月島さんの顔。
状況が分からなくなって、目を何回も瞬かせていると、唇が解放される。

だけど、すぐにまた塞がれて。
その行為が、キスなのだとやっと気付いた。
/ 243ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp