第36章 ドラマみたいに…(月島エンディング)
「…月島さん…。」
ドラマと同じく、目に入ったその人の名前を呼ぶ。
だけど、返ってきたのは…。
「これ、邪魔なんだけど。」
嫌そうな顔だった。
示されたチェーンを外し、玄関に招き入れる。
扉が閉まって、2人きりになった瞬間、ちょっとだけ期待するんだけど。
「ヒドい顔。鏡見てきたら?あ、君の家には鏡が無いんだっけ?」
そんなの、しただけ無駄だった。
ドラマとは違いすぎる展開に落ち込みを通り越して、笑いすら起きてくる。
「何で笑ってるの?気持ち悪いんですけどー。」
「いや、これが月島さんだなって思いまして。甘い台詞より、辛辣な言葉ばかり言ってくるのが、現実なんだなって。」
「僕が甘い事言ったら、それこそ気持ち悪いデショ。」
「そうですね。」
話をするのが怖かった筈なのに、普通に会話出来ていた。
だから、つい本音で肯定する。
途端に、不愉快そうな顔をして溜め息を吐かれた。
空気が凍り付いた気がして、笑いが止まる。
「…それでも君が望むなら、してやっても良かったんだけど?」
「…はい?」
いやいや、自分で気持ち悪いって言いませんでしたかね、貴方。
しかも、してやっても良かったって言うのは、考えてくれた上で良い返事をくれる場合でしょ。
どう考えても、有り得ない。
混乱して、疑問を表すように上擦った声を出していた。