第36章 ドラマみたいに…(月島エンディング)
観たいものは終わったからテレビを消そうとしたけど、何やら照島社長のトークがあるようで。
私の事を何か言うだろうから、引き続き観る事にする。
トークの内容は、今までのシンデレラではやらなかった軌跡のドラマ化を何故したか、ってものだった。
『1年シンデレラ企画は、女の夢を叶える企画だぜ?今までのシンデレラの望みは叶えてきたべ?
この、大熊りこの動機。綺麗になって、男を見返す。見た目は望みを叶えたけどな、もう1つの望み叶えてねぇだろ?
これ見せて、思い出させてやろーってやつ。』
そんな理由があったなんて知らなかった。
単に、面白がっていただけじゃないと分かって、社長を見直す。
でも、私は忘れてた訳じゃないから、意味がない。
覚えてても、またフラれるのが怖くて。
考えてあげる、って言われたのに、その答えを聞けなかっただけ。
だから、彼を見返せたのか、フった事を少しでも後悔してくれたのか分からない。
意気地の無さが情けなくて、涙が出てきた。
泣いている内にトークは終わり、CMが流れ始めるテレビを消す。
静まり返った部屋の中、響くのは自分が鼻を啜る音だけ。
明日は撮影とか入ってない筈だから、目が腫れても構わない。
思い切り泣いてしまおうと、声を出そうとした時だった。
部屋にインターフォンの音が響く。
驚きで涙が止まり、来客を確認しようと玄関に向かった。
防犯の為にチェーンを掛けて扉を開く。
そこには、ドラマのラストシーンが広がっていた。