第36章 ドラマみたいに…(月島エンディング)
月島さんの許可は取れたようで、無事に迎えたドラマの放送日。
何の予定もない私は、家でテレビの前に座り込んでいた。
前は、自分の出てる番組を観るのは不思議な感じがするし、失敗してたら恥ずかしいし、で観たくなかったけど。
今は、テレビに自分が映るのに慣れてきたし、失敗してるなら改善点を見付けたいし、出来る限りリアルタイムで観るようにしてる。
始まったドラマは、私の演技が酷すぎて途中で消したくもなったけど。
ラストのシーンを観たくて、そのまま点けていた。
私が、憧れてた結末。
作り物であっても、夢は見ていたい。
テレビ画面の中、ラストシーンが始まる。
芸能界に残る宣言をした私がシンデレラのセットから降り、家に帰る。
これからは、シンデレラってブランド力は無いから、自身の力で頑張ろうと決意を固める描写があって。
オーディションの資料を見ている所で、インターフォンの音が鳴る。
玄関を開けると、そこには月島さん役の俳優さんが立っていて…。
驚いた顔をした私のアップ。
仮名として付けられた、月島さん役の名前を呼ぶと抱き締められている。
耳元で、何かを囁く俳優さん。
視聴者の方々の想像にお任せするって事で、この部分に台詞はない。
少しだけ離れて、見つめ合う2人。
再び近付く顔、唇が重なった所でドラマは終了した。