第35章 私の騎士様(岩泉エンディング)
パニックを表すように、手をジタバタと動かす。
私を見ていた岩泉さんが、吹き出すようにして笑った。
「ふっ…くくっ!お前、なんだよ、その反応は!」
「だっ、だって!理解が追い付かないんです!」
告白が成立してるのか、返事として受け取っていいのか。
分からないから、言って貰おうとしたのに。
「はぁ?俺が、テメェをずっと護ってやるっつーの、どこをどう聞いたら理解出来ねぇ話になんだよ?いつでも連絡してこいって事だべ?」
答えは、これで。
ただ単に、警備員としての使命感みたいなものだったように聞こえる。
ここまできて、告白が無かった事にされるのは辛くて。
「男性として意識してるって、言いましたよ?」
「お、おぅ。」
「警備員としてじゃなくて、男としての岩泉さんに護って、欲しいんですよ?」
確認作業をするみたいに、一言ずつゆっくりと話をしていく。
岩泉さんは、少しずつ顔を朱に染めて、口元を手で覆っていた。
「マジか…。」
「マジですが。やっぱり、伝わって無かったんですね。」
理解出来ていなかったのは、岩泉さんの方だったみたいだ。
分からなかったって事は、私がそういう対象じゃないって事。
「悪ィな…。」
岩泉さんって、何だかんだ言って優しいから、断るのも辛いんだろう。
これ以上は、言わせるのも悪い。
「私、タクシーでも拾って帰りますね。今日は、何かすみませんでした。」
車から降りようと、ドアのロックを解除する。
でも、運転席からも操作出来てしまうようで、開ける前にまたロックされた。