第7章 お披露目の日
‘1年シンデレラ’の番組の撮影の日。
すでに、口から心臓が吐き出せそうなくらいに緊張している。
テレビに映る事を考えただけでこうなのに、あの社長から今日まで課せられた指示は…。
‘自分のケア禁止!’
なのである。
なんでも、地味であれば地味であるほど、変わった後のインパクトがあるからだそうだ。
眉の手入れすらしていない、化粧もさせて貰えない。
迎えに来てくれた縁下さんだって、余りの地味っぷりに一回私の前を通り過ぎたレベルだ。
そんな、女性として終わっている状態で世間様にお目見えするだなんて、緊張どころの話ではない。
初めて入るテレビ局。
擦れ違うのは芸能人やら業界人。
ワンデレラは、発表まで紹介して貰えないのが通例らしい。
私を見る目が、なんでこんなのがいるんだ、と言っている。
場違いなのは、分かってますから!
逃げられるものなら、私だって逃げたい!
頭の中で叫んでみても、ここまで来たら無駄な事で。
番組の撮影が始まってしまった。