第35章 私の騎士様(岩泉エンディング)
タレントとしてテレビに出てしまうと、それは中々消えないものになってしまう。
もうシンデレラ期間は終わって、一般人に戻る選択をしたのに…。
未だに、街中で話し掛けられたりするし、握手とかを求められる。
写真とかは、出回ると怖いから、もうタレントじゃないから、って断ってたけど。
たまに、しつこいファン様は居るもので。
有名税って言葉を持ち出して、迫ってきたりする。
しつこいからって、1人オーケーしちゃうと、次から次へと、そんな人が湧きそうだから、話し掛けられても出来る限り早めに立ち去るようにしていた。
そういうのが減ってきた頃、街中を歩いていると視線を感じるようになった。
初めは、元シンデレラで今は一般人だから、話し掛けて良いか分からない、良心的な人のものだと思っていたけど。
外に出る度にだから、怖くもなってくる。
そんな日が続いていた、ある日。
意外な人からの着信があった。
相手は、及川徹。
私の事をやたらと心配していて。
意味が分からず、理由を聞くとネットで私の名前を検索してみて、なんて言われた。
電話が終わってから、言われた通りにしてみると…。
出るわ出るわ、私の悪口三昧。
写真ダメとかお高くとまってる、とか。
元だからってファンを無下に扱う、とか。
写真を撮らせない腹いせのような書き込みが、一杯出てきた。
だけど、問題はそこではなくて。
元有名人って顔をして、優先されて当たり前みたいな態度を取る。
イケメン以外のファンに話し掛けられるとゴミを見るような目をする。
こんな感じで、情報に乗っかった尾ヒレが付いた情報が書き込まれている事だ。
事務所に居た頃は、こういう事があった場合の対策は周りがやってくれていた。
でも、これからは自分で対処しなきゃならない。
そうは思っても、何からやれば良いのか分からなくて、見なかった事にする事にした。