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【HQ】1年シンデレラ

第34章 何より美味なもの(赤葦エンディング)


「りこさん、アンタ、太りましたね?」

芸能界から離れて数ヶ月。
偶々、道端で会った昔馴染みに言われたのがコレ。

確かに、最近は元シンデレラだと気付かれなくなってきたけども!
それは、体型だけの所為じゃないと思いたい。
ほら、だって毎年シンデレラ変わるんだから、芸能界に残らなかった人間は忘れられて当然じゃない?

言い訳を頭の中で考えても口には出せず…。
何故か、その昔馴染み…京治くんに、とあるマンションの一室に連行された。

表札には、赤葦って書いてある。
京治くんの名字ってなんだったっけ。
そうだよ、赤葦だよ。

…と、言う事は。

「俺の部屋です。」
「デスヨネ。」

何も質問していないのに答えが聞こえて驚く。
でも、それについては予想が出来ていた訳で、ここが誰の家かよりも、どうして連れてきたかを聞きたい。

「りこさんには、半年…いえ、3ヶ月はここで生活して貰います。良いですね?」
「え?…あぁ、うん。」

この疑問も、聞かずとも答えが返った。
言葉の意味も理解出来ていないのに、問い掛けられたから思わず頷く。
返事をした後になって、何を言われたかを確認するように思い出して。

「いや、無理!なんで、京治くんの家に住まなきゃならない訳?京治くんは男で、私は女なんだよ?」

拒否をするように、首を激しく横に振った。

「アンタがコレ以上太らないように管理するだけです。その身体で、何かされるとでも思ったんですか。」

拒否権は無かったようで、冷たい視線が私を見下ろしている。
その上、今のだらしない体型を示すように腹の肉を掴まれた。

悲しいかな、摘まれるんじゃなくて、掴まれてしまえる私の腹肉。
ちょっと、ぽっちゃりなくらいだと思っていたけど、これは本気でヤバい。

シンデレラだった頃の体型に戻れるかは定かではないけど、従った方が良いのは分かった。
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