第33章 恋人契約(照島エンディング)
呆気に取られて、疑問を口にしようとしても、上手く言葉が出てこない。
その隙を狙ったように唇が奪われた。
「ごっそーさん。これで、ホントの既成事実出来たな?」
「いや、ちょっと、意味が…。」
「お前、ここまでさせといて、まだ分かんねー?」
苛立ったように、眉を寄せている顔。
手を掴む力が強くなって、痛みを感じた。
「俺の女になれ、っつってんだよ。何の為に、こんな記事書かせたと思ってんの?」
「あ、えっ…と?もしかして告白だったりしますか?」
「それ以外の、何だと思うんだよ?分かれよ。」
「いや、私の何がどう良くて、そんな事を言われてるのか分からなくて。ちょっと理解が追い付きません。」
今度は呆れたように長い息を吐いて、手の力が弱くなる。
やっと離れた手を引いて、座り直した。
「お前を、俺のトコで輝かせたいんだよ。育てゲーみたいな?」
「それなら別にお付き合いするとか、手を出す必要はないんじゃ…。」
「俺以外のヤツに持ってかれんの、気に食わねーの。俺が見付けた原石、誰に渡すかってーの。」
「それ、私の事が好きとかじゃないですよね。」
「惚れてなきゃ、他のヤツに渡したくねぇとか言わねぇよ。」
最終的に、私に対しての気持ちを吐いた時には逆ギレ気味で。
なんとも社長らしいと思ってしまった。
「社長の所で、またお仕事させて下さい。私を、これからも社長が変えて下さい。貴方の元で、輝きたいです。」
私の答えも、告白の言葉に合わせる。
この返事でも、理解はしてくれたみたいで。
「じゃ、お前専用の契約書に、サインくれよ。」
唇を指先で示された。
キスを求められているのは分かったけど、私からするのは恥ずかしい。
迷っているとテーブルに手を着いて顔が近付いて。
「お前からくんないなら、俺からしてやろーか?
契約期間は、一生で。途中解約させてやんねーけどな。」
一生でも、それは望む所で。
受け入れる意を示して目を閉じると、唇に柔らかいものが触れた。
照島エンディング‐end.‐