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【HQ】1年シンデレラ

第33章 恋人契約(照島エンディング)


記事を読むように指で示されて、文字の列に視線を落とす。
書かれていた文章は、完全にお付き合いしている事になっていた。

そんな覚えは全く無いのに、結婚秒読みとかまで書かれている。

「こんなのが、表に出たから責任取ってくれるつもりですか?」
「俺が責任どーのってタイプに見える?」

予想を口に出すと質問返しされて。
失礼だけど、そうは見えない。

まぁ、責任感で手元に置かれても嬉しくはないし。
私を傍に置いておきたいって思ってくれないと…。

って、何を考えてるんだ、私。

頭を振って思考を払おうとしたけど。

あの日、何も無かったのが残念だったとか。
どっかに所属するなら、この人の元が良いとか。

どうしても、この人に好意を向けているような考えばかりが思い浮かんで。

顔が熱くなっていくのを感じる。

「ぶっ!お前、何1人百面相してんの?」

そんなに、表情をコロコロと変えてしまっていたのか、社長がゲラゲラとお腹まで抱えて笑った。
凄く失礼な態度に腹が立って、意識したのが恥ずかしいのもあって。

「もうっ!そんなに笑わないで下さいよ!」

テーブルの上から手を伸ばし、頭を叩こうとする。
でも、手は掴まれて止められ、そのまま引き寄せられた。

近付く顔が、笑うのを止めて私の眼をしっかり見ている。

「シンデレラじゃなくなったお前に、一番に手ぇ付けさせろって言ったべ?」

至近距離で喋られて、何も返せなかった。
心臓が破裂しそうなくらい、大きな音を立てている気がする。

「お前、うちから切ったのも自分トコのタレントに手ェ出すのは問題だから一応ってやつで。
既成事実出来た事だし?自分の女、自分の事務所に引っ張ってくんのは、よくあるだろ?」
「…あ、え。でも…勝手に記事を書かれただけで…。」

話を進められているけど、実際には何かあった訳じゃないし、付き合っている訳でもなくて。
世間に出回ったとはいえ、既成事実とするには弱すぎる。
だって、社長の気持ちは何一つ分かってない。

「これ、リークしたの俺だし。」
「…はい?」
「わざと、ホテルに入るトコ撮らせたし。」
「えーと?」

信じられない事実を、あっさり口にしている。
芸能事務所の社長という身で、自分の信用を何故落とそうとしたのか分からなかった。
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