第33章 恋人契約(照島エンディング)
翌日は、朝早くから…。
「おーい!地味子!起きろ!まだ寝てんなら置いてくぜぃ!」
社長の馬鹿でかい声に起こされ。
急かされながら着替えをして、化粧の時間は取らせて貰えないまま、あっという間にホテルから出た。
帰りは新幹線で、その中で食べる駅弁も米沢牛てんこ盛りの高そうなやつ。
朝から、こんな濃いものを食べられる気はしないから、持ち帰る事にした。
それにしても、昨晩何もしなかったクセに、まだ私に金を使う意味が分からない。
性的な下心じゃなきゃ、どうしてここまでしてくれるんだろう。
答えは、社長しか分からないし、聞いたってふざけた回答しか返らないのは分かっている。
早々に考える事を放棄して、叩き起こされた所為の寝不足を解消するべく、移動中は眠っていた。
東京に到着すると、朝と同じくテンション高めの大きな声で起こされて新幹線から降りる。
その、出入口の前には…。
「…げ。力ちゃん…。」
力ちゃんこと、縁下さんが立っていた。
「社長。こっちが仕事してる間に自分はゆっくり旅行か?」
「昨日は、俺オフだし!」
「それは、昨日だけだよな?今朝、連絡が着かなかった責任はどう取るんだ?」
怒ると、とても怖い縁下さん。
言い訳をしている社長の口を塞ぐように押さえる。
「大熊さん、社長が振り回して悪かったね。」
「あ、いえ。こちらこそ…すみません。」
「謝らなくて良いよ。無理矢理連れ出したのくらい分かってるから。悪いけど、俺達はこれから仕事なんだ。またね。」
「はい、また。」
縁下さんと挨拶を交わし、引き摺られるように連れていかれる社長を見送った。