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【HQ】1年シンデレラ

第33章 恋人契約(照島エンディング)


連れていかれたホテルの最上階。
ここでも飲むらしく、ルームサービスでワインを頼んでいた。

体が触れ合うくらい近くに並んでソファーに座り、乾杯する。
腰を抱かれたりのボディタッチが増えてきて、段々と先の展開が現実として近付いてきた。

「…お前、シャワー浴びて来いよ。」

ボトルの中身が半分程になった頃、耳元で低い囁きが聞こえる。
頷きで答えて、バスルームに移動する。

とても広いバスルーム。
大きな鏡があって、その中を覗いた。

映るのは、当たり前だけど私で。
昔より、垢抜けた感じはするけど大して綺麗では無くて。
社長なら、顔だって身体だって、もっとハイレベルの女を相手に出来る筈なのに、何で私なんだろう。

そんな疑問は持つだけ無駄なもので、思考を洗い流すように頭からシャワーを浴びる。
見た目を今すぐにどうこう出来る訳がないから、せめて清潔という意味では綺麗にしておきたい。

しっかりと身体を洗ってバスルームから出ると、バスローブを羽織り社長の元に戻った。

さっきと、同じ位置に座っている社長。
グラスを持ったまま、頭を垂れている。

落ち込むとか、失礼だけど、この人に限っては無さそうで。
不信感を丸出しにして、ソロソロと近付いた。

「…寝てる。」

顔を覗くと、目が閉じられていて、微かに聞こえるのは寝息だ。
テーブル上のボトルに目をやると、さっきまで半分くらいあったそれは空で、呆れを混ぜた溜め息を吐く。

「落ちるまで飲むくらいなら、誘わないでよ…。」

何も無かった事を安堵するより、ちょっと残念に思ってしまったのは内緒の話だ。
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