第33章 恋人契約(照島エンディング)
照島社長に、借りを作るのは嫌。
でも、今の生活を続けてたら高級な肉どころか、スーパーで売ってる激安肉ですら、私には高嶺の花。
そりゃ、転職すれば良いのは分かってるけど、自分で続ける事にしたのに、1年もしない内に諦めたくなくて。
それなら、美味しいものを食べる為に、人に媚びるのも必要な事。
数時間、ちょっと…いや、凄く面倒なお祭り男の相手をするくらい、出来る。
扉を開いて、やっぱり行くと示した。
「女が肉に釣られるとか、面白すぎね?」
目の前に立っていた社長は、楽しそうな顔で笑っている。
この人にとって、面白い女、であれば、美味しいご飯が食べられるし、もしかしたら上手く仕事を回して貰えるかも知れない。
そんな下心満載で、社長についていった。
少し広い道に出た時、タクシーを止めて、それに乗り込む。
行った先で、現地解散されたら帰って来られるか心配になった。
不安を、現実にするかのようにタクシーは高速道路に入る。
「どこに、行くつもりなんですか?」
「米沢。」
「はい?」
「山形県だな。知らねぇの?」
「それくらい知ってます。でも日帰り出来る場所じゃ…。」
「お前、どーせ暇だべ?」
いやいやいや、暇とか関係ないでしょ。
媚びる相手を間違ったのだと分かった時には、完全に手遅れになっていた。