第33章 恋人契約(照島エンディング)
私が芸能界に残っても、契約の更新なんかして貰えない。
その予想は大当たりで、私は照島社長に切られた。
シンデレラじゃない私に価値は無いに等しく。
フリーで活動しているタレントの登録サイトに名前を載せるのが精一杯。
そこには、私より見た目の良い人は沢山いるし、トークだとか、一芸に秀でた人も沢山いる。
まるで仕事がないまま、日々を過ごすしか出来なかった。
そんな中で、入った一本の仕事。
その番組は、元シンデレラの現在を世間に届ける為のもの。
元シンデレラである、私じゃないと務まらない仕事。
大元の依頼人は、私を切った、照島社長である。
撮影の現場に居たら、噛み付いて嫌味でも言ってしまいそうだ。
会いたくない。
そう思っていたのに、スタジオ撮影前に私の私生活を撮るってロケの時、その人は当たり前のように顔を出した。
その上…。
「タレントのクセに地味な生活してんなぁ。」
挨拶もなく、こんな失礼な事を言いだす。
「えぇ、私にはシンデレラ以外の価値が無いもので。ちょっと、生活には苦労させて貰ってます。」
イラッとしたものだから、つい反抗的に言い返してしまった。
「ソレは、お前の売り込み不足。あんなサイトに登録しただけで、簡単に仕事入んなら事務所なんか要らねーだろ。」
これには、正論で返されて。
傍に居たら、また喧嘩腰になりそうだったから、社長からは離れる。
腹が立つのは図星を突かれたからだと、分かっていた。