第32章 解けない魔法(リエーフエンディング)
番組の終了時間は、正午。
お昼の12時。
カボチャの馬車じゃなく、普通の自動車で。
綺麗なドレスじゃなく、普段着で。
それでも、私はシンデレラになれるのだと確信していた。
車の中でもモニターで番組を観ている。
番組には進行があるからトークは切り上げられて、ゲスト同士で対決するゲームの時間になった。
本日のゲームは、最初からリエーフの写真集の宣伝予定があったからなのか、何人かの裸足の美女が登場して。
幾つか散らばった靴の中から持ち主を当てるゲームになっていた。
それが始まる頃、テレビ局に辿り着いた私達。
社長が先に連絡を入れてくれていたみたいで、すんなりスタジオ…では無かった。
私だけ、セットの裏に連れていかれた。
靴を脱ぐように指示されて、キャスターの付いた移動式の試着室みたいなものに入れられる。
顔から、腰まではカーテンで完全に隠された状態で、セットの中へ。
聞こえてきたのは、シークレットゲストの登場、なんて言葉。
ゲームに参加させられる流れのようだったけど。
「このコの靴は、コレだろ。」
スタートの合図も聞かず、リエーフが動いている。
私の足元には、宣伝用に置かれていた、よりシンデレラを連想させる為のガラスの靴があった。