第32章 解けない魔法(リエーフエンディング)
この、サンプル本が届いてから数日後。
とある、週刊誌が発売される。
それには、撮影の日に一緒に帰った時の2ショット写真が掲載されていた。
しかも、定番の熱愛記事として。
こういうのは、先に事務所に打診等々があるみたいだけど、ウチの社長は止めないのは分かっている。
理由は、楽しそうだから。
トラブル大好き人間だからね、ウチの社長。
でも、掲載されたって事は向こうの社長も止めなかったって事だ。
何か企みがあるに違いない。
それを確かめたくて、家から出ると何人かの記者が居た。
質問をされても、事務所に何も話さず勝手に答える事は出来なくて、コメントは拒否してタクシーに乗り込み事務所へ。
そちらにも記者は居たけど、取り合えずは無視。
慌てて入った事務所には、普段は見慣れない量の封書が机に重ねられていた。
「大熊さん、見ない方が良いよ。」
「いーや、コレが現実だって見せてやれ。」
私に気付いた社長と縁下さんが言い合いして。
最終的には社長が勝って、私に封書の1つを渡してきた。
紙だけではない、重み。
恐る恐る開くと、中から剥き出しのカッターの刃だとか、カミソリが出てきた。