第32章 解けない魔法(リエーフエンディング)
写真集の発売日少し前、サンプルが事務所に送られてくる。
その内容に、これまでに無い程に驚いた。
タイトルは…。
【実写版シンデレラ】
中身は絵本とかと同じくストーリーに沿っていて。
それには、私がピンで撮られた写真も使われていて…。
「ナニコレ、聞いてな…。」
「や、流石にコレは話したぞ?」
思わず漏らした呟きを拾った社長は、悪戯気に笑っている。
話を聞いてない部分が多かったから、どさくさ紛れに言った事にしているに違いない。
「マジでそれは言ったっての!あっちの社長からのご指名で、リアル王子様とリアル灰被り姫で写真集って!」
疑いの目を向けると、早口で話している社長。
あっちの事務所には嫌われているから、嘘だと思って眉を寄せた。
「別に大熊りこ、あっちの社長に嫌われてねぇよ?お前の目的が、男を見返す事だったべ?だから、自分んトコのモデルがちょっかい出したら迷惑だって遠ざけただけ。」
社長の口から語られる言葉が事実とは限らないけど。
考えてみれば、タレントは護る宣言したウチの社長が、モデル業界から干された時は助けてくれなかった。
そのクセ、最近になってモデルの仕事を飄々として持ってくる。
そういう、裏事情があったなら納得出来た。