第31章 特別扱い(縁下エンディング)
縁下さんは、驚いたように何回も目を瞬きさせて。
それから、照れたように笑っている。
「逆だよ。期待するのは、俺の方だ。」
多分、私の気持ちを告げる事を期待してくれている。
「縁下さん、私…。」
「待った。」
だから、告白しようとしたけど、制止されてしまった。
予想は外れたのだと落ち込んだけど、違ったようで。
「やっぱり、俺から言わせて。」
真剣な顔をして、近付いてきた。
私の両肩に手を置いて、目を合わせてくる。
深呼吸をする音が聞こえて。
「大熊りこさん、好きです。俺と付き合って下さい。」
静かで、優しい声が落ちてきた。
嬉しすぎて、泣きそうで。
声を出そうと思ったけど、詰まってしまう。
言葉が返せないから、ただただ首を縦に何回も振って応えた。
「俺さ、大熊さんの笑顔で落ちたんだ。何も、辛い時に無理に笑えって言うんじゃないよ。
でも、嬉しい時は笑って欲しい。涙を流すくらい喜んでくれるのは、光栄だけどな。」
頬に手が当てられて、親指が目元を撫でる。
望まれた通り、笑って見せると、顔が近付いて…。
唇が、重なった。
縁下エンディング‐end.‐