第32章 解けない魔法(リエーフエンディング)
芸能界に残る事を決めて、更には社長の好意により、契約をして貰える事になったまでは良かった。
だけど、ワンデレラではない私に価値は無くて。
前に私をよく使ってくれていた旅番組くらいの仕事しか無い。
それ一本の仕事で、生活が成り立つような稼ぎには当然ならず。
キラキラしている世界にいながら、貧困生活を送っている。
しかも、バイトをしようにも下手に顔が売れているから、扱いが客寄せパンダ状態で。
ある程度の集客に使ったら、すぐに切られるという。
まぁ、撮影があると、すぐに休む上に、大体が旅番組だから連休になってしまう。
それじゃ、戦力にならないし、仕方がないのかな。
そんな中で、旅番組以外の仕事が舞い込んだら、内容なんか無視して飛び付くものだ。
私が干された筈のモデルの仕事だったら尚更の事。
だけど、今回のものに限っては、ちゃんと最後まで話を聞いて、判断をしておけば良かったと後悔した。
何故なら、モデルとして成功を収めたリエーフの、初の写真集の撮影だからだ。
ただでさえ、あちらの事務所の社長には嫌われている。
多分だけど、私が許されたんじゃなく、リエーフが私と撮影したいとかワガママでも言ったから実現したであろう事。
絶対に失敗は出来ない。
撮影前から、緊張ばかりして、早くも吐きそうになっていた。