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【HQ】1年シンデレラ

第31章 特別扱い(縁下エンディング)


翌日、社長に挨拶してから早速の仕事開始。
田中社長は、すぐに現場に出てしまったけど、私が慣れるまではお姉さんが来てくれるみたいだ。

「りこちゃんは、力の事、どう思ってんの?」

仕事を教わりながら、なんとかこなしていると関係のない質問が飛んでくる。

「優しい人ですよね。」

ここで、答えないのも悪い気がして無難に返した。

「あー…。りこちゃんは、さ。フラれた男を見返したくてシンデレラになったんでしょ?ソイツの事、まだ好き?」

また、違う質問。
これには、どう答えれば良いか分からなくて言葉に詰まる。

好きというよりは、フラれた悔しさから執着していただけの気がして。
現在、月島さんの事を考えると、どこを好きになったか疑問さえ浮かぶくらいだ。
やっぱり、顔、だったのかな。

人を見た目で判断していた自分に気付いて、嫌悪感で眉を寄せる。

次は、ちゃんと中身で好きになりたい。
例えば、優しいけど、ちゃんと怒ってくれる強さがある縁下さんみたいな人とか。

「多分、好きとは違います。悔しかったから、見返したかっただけで。」
「そっか。じゃ、力にも望みはあるんだね。」

やっと答えを口から出すと、意味深な言葉が返った。

望みはある、と言うか。
次に好きになる人が居るなら、縁下さんみたいに優しくて、強い人が良い。
そう思ってしまったばかりで、顔に血が集中してきた。

その私の反応を、ニヤニヤ笑いながら見ているお姉さん。
そうやって、からかわれている内に終業時間になって事務所から出た。

ビルの前、見覚えがある車が停まっていて驚く。
私に気付いて手招きする、その人の顔を見ただけで赤面してしまった。

「大熊さん?どうしたんだ?」

不思議そうに声を掛けられても答えられる訳はなく、首を振るだけで返す。
無理に聞いてくる人じゃないから、すぐに引き下がってくれた。

ここに来たのは、私を家まで送る予定だったみたいで。
来てくれたのに遠慮するのも悪くて車に乗ったけど、恥ずかしくなって何の会話も出来なかった。
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