第31章 特別扱い(縁下エンディング)
翌日、言われていた住所の場所に行くと、そこに建っていたビル。
小さな事務所が幾つも入っている場所のようだけど、どの会社に行けば良いのかは指示されていなかった。
よく分からず、その場で待っていると目の前に見覚えのある車が停まる。
「遅れてごめん。ちょっと、駐車場に停めてくるから、先にその田中建設って事務所に行ってくれる?」
運転席のウィンドウが開いて、顔を出した縁下さん。
ビルの前に設置されたプレートに書かれた名前を指差すと、すぐに車を走らせてしまった。
取り合えず従おうとビルの階段を上がって、示された名前が掲げられた事務所の前へ。
人の紹介で、面接とか受けた事は無かったから緊張する。
だって、失敗したら縁下さんの評価下がるじゃん。
落ち着こうと深呼吸してから、扉を叩いた。
「…はーい。どちらさーん?」
中から出てきた女性は、私の事を眺めてから、突然抱き締めてくる。
「わーぉ。シンデレラじゃん。実物も、かーわいーねぇー。」
「え、あの?え?」
頭をワシワシと撫でられ、頬擦りされ。
どこか、ペットでも扱うような状態に理解が追い付かず、疑問符を付けた言葉が口から勝手に出ていた。