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【HQ】1年シンデレラ

第29章 魔法が解ける時


次の楽屋、貼られている名前は、灰羽リエーフ。

色々とあって、彼の事務所には嫌われたから挨拶もさせて貰えないかも知れない。
マネージャーの夜久さんに追い払われるかな。

そんな考えが頭を過って、ノックが出来ない私の頭の横を縁下さんの手が通った。

「大丈夫だから。」

一言で、安心させてくれる優しい声と、縁下さんの手が扉をノックする音。

「…はい。どちら様?」

すぐに開いた扉から、夜久さんが出て来たと思ったら…。

「りこっ!」

すぐに後ろから、リエーフも登場して満面の笑みを浮かべている。
前と変わらない対応に嬉しくなって思わず笑みが零れた。

「リエーフ、有難う。」
「ん?なんかしたっけ?」
「私が言いたかったんだよ。今晩も、宜しくね。」
「おぅ!宜しく。」

会話も、前と変わらず出来てしまう事が尚嬉しい。
時間がないから、挨拶だけで話を終わらせて、その場から去った。

「夜久さん、りこのコト、見すぎっすよ。」
「うるせーよ。」
「りこ、可愛いっすよね。笑うと特に。ウチの事務所に勧誘しなくて良かったんスか。」
「仕事に私情を入れる訳にいかねーだろ。」
「素直じゃねーですね。」
「いい加減黙れ。」

後ろで、相変わらず言い合ったような声は聞こえたけど、内容までは分からず。
少し鈍い音が耳に入って、またリエーフが余計な事を言ったんだろうと思った。
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