第28章 残り時間
それが、つい昨日の出来事で、只今絶賛二日酔い中。
そんな私に、何通ものメッセージが届く。
相手は、この業界で出会った方々で、その内容は殆ど同じ。
最終回前に一度くらい、とお茶しよう、だとか、食事しよう、だとかのお誘い。
理由は、なんとなく分かる。
注目度が高い番組である1年シンデレラ。
ただでさえ、ワンデレラは業界に残らなくても有名税的なもので、生きづらくなるのだ。
業界から抜けてから、わざわざ業界人と会って目立つような真似をする人間は少ない。
私が一般人に戻れば、会えなくなる可能性が高いから、惜しくなったってヤツだと思う。
それと、少しでも早く、私の選択を知りたい興味とか、好奇心とか。
それについては、私自身まだ決めていなくて。
残り時間も、もう無いし。
最後の最後で、勢いに任せて答えようと思っているくらいの状態。
聞かれても困るから、こういう時だけ連絡してきた方のお誘いは断り。
自分が本当に会いたいと思った人達と過ごす、慌ただしい生活を送る。
そして、本当に先の事を決めぬまま、運命の、シンデレラとしての最後の撮影の日を迎えた。