第27章 今度は選ぶ側
やっと、一応の選別が終わった時には夕方になっている。
何せ、何千通もある書類だ。
確かに、一人で見ていて終わる訳はない。
特に…。
「…社長、いい加減起きろ。」
「…ふぁ?終わったか?」
途中で飽きた上に、横になったらそのまま眠ってしまうような、この社長に任せていたら書類選考だけで、数年掛かってしまいそうだ。
縁下さんに起こされる、たった今まで本気の熟睡をしていらっしゃった。
「よし。じゃ、飯でも行くべ。」
しかも、選別を終えた書類を確認する訳でも無く。
礼を言ったりも勿論無く、次の行動を決めてしまっていた。
こんな、自由人が厳しいテレビ業界で社長でいるなんて、世の中不思議なものである。
いつぞやの、タレントを護ると言い切った時は、見直したけど。
それを上回る適当さ加減に呆れて、失礼な事を考えていた。
「社長、まず、言う事があるだろ?」
「は?何をだよ?」
「社長が寝てる間に、俺達が何をしてたか分かってるよな?」
そんな社長を叱れるのは、この縁下さんだけで。
ホント、この人、縁下さんがいなかったら事務所潰すんじゃないだろうか。
意味が分かってない風の社長は、無理やり選考済みの書類を縁下さんに持たされていた。