第27章 今度は選ぶ側
先程も、自分で言った通り、この調子の社長には付き合わないと駄目。
拒否権はない。
溜め息を吐いて、テーブルの側に腰を下ろした。
目の前に置かれている、紙と付属された写真を眺める。
だけど、何をどうすれば良いのやら。
「大熊りこ、顔で選ぶなよ?重要なのは動機な?んで、合格と不合格分けて、纏めとけー。」
何をすれば良いか迷ってると、指示をしてくれたから言われた通り、動機だけを見る事にした。
だって、写真を見たら下手なタレントより可愛かったり、美人な子が多くて。
正直、現状でやっと地味女から抜けて普通になった私が落とせるレベルの人なんかいない。
黙々と、3人で書類を分ける作業をしていたけど。
「…大熊りこ、なんか音楽とかねーの?」
「ありません。」
「じゃ、お前が何か歌え。」
「歌いませんよ。何でBGMやんなきゃならないんですか?」
「だってよー。暇だべ?」
どうやら、途中で社長が飽きてしまったみたいだ。
見ていた書類をテーブルに放って、その場に寝転がる。
縁下さんは慣れているのか、完全に無視をしていたから、それに倣って放っておいた。