第25章 好きな仕事
迎えに来た縁下さんに事情を説明する。
以前にネットとはいえスキャンダルの相手となったリエーフを警戒していたけど、本人のバカみたいな明るさに負けてイイ顔はしないながらも、頷いてはくれた。
そして、縁下さんの車で帰路に着く。
「すみません。うちのリエーフが我儘言って送って頂く形になって。」
「いえいえ。以前は、うちの大熊がご迷惑を掛けましたから。」
運転席の縁下さんと、助手席の夜久さんは、社交辞令的な会話をしている。
顔はにこやかだけど、やっぱり事務所側の人間からしたら、一度はスキャンダルを起こした相手と一緒に帰るなんて嫌みたいで、空気はピリピリしていた。
「ねー。夜久さん、俺、腹減りました。」
「うるさい。後で何か食わせてやるから我慢しろ。」
そんな中でも平気な顔で、欲の赴くままの発言をするリエーフ。
夜久さんの不機嫌な声が返ってきたけど、気にしてないのか、足をバタつかせた。
まるで、駄々をこねる子どもにみえる。
広くはない車内で、足の長い人にそれをされると、かなりの振動が伝わってきて、事故が心配になった。
「リエーフ、ダメ。子どもじゃないんだから、我慢しよ?」
足を止める為に手を添えて、諭すように声を掛ける。
この時点で、まるっきり子ども扱いしているんだけど、気付かなかったみたいで。
「なら、りこが後で何か作ってくれんの?」
どうやったら、そうなるの?と言いたくなるような発言を返してきた。