第24章 代理
…だけど、会話としては終了。
話題が無さすぎる。
無言のまま、電車は家の最寄り駅に到着した。
2人で電車から降り、歩く間も無言だったけど。
静かな状態の中、響いた音があった。
空腹なのか、私のお腹が、はっきりと聞こえる音を出す。
勿論、岩泉さんの耳にも入ったようで、あからさまに顔を逸らされた。
聞いていないフリをしてくれるのは有り難いけど、肩が震えていて、笑っているのが分かる。
「ちょっ!岩泉さん、生理現象なんだから仕方ないでしょう!」
恥ずかしさで、つい怒ったような声を出した。
「…わ、わりぃ。」
勢いで怒ってしまっただけなのに、謝られてしまうとこっちが悪いような気になる。
だからって、私まで謝ると謝罪の言葉の繰り返しになりそうで言えなかった。
他に何を喋れば良いのか思い浮かばず、早く帰りたくて焦ったように早足になる。
それを、止めるように手が掴まれた。
「悪かった、っつってんだろ?コレやるから、機嫌直せ。」
振り返った私の目の前に出された箱。
パッケージには、塩キャラメル、の文字。
意外なものを差し出されて、笑ってしまった。