第24章 代理
結局、誰にも相談しないまま、数日。
勇気を出して、聞いて貰うくらいはしないと、そろそろパンクしてしまう。
そうやって追い詰められてきていても、仕事はあるし。
その間は、なんとかプロ根性を絞り出して頭の隅に悩みを追いやる。
それでも、悩みが無くなる訳じゃない。
撮影が終わって、帰り支度なんかをしている、一人になった時間には、つい考え込んでしまっていた。
今日は、黒尾さんが家まで送ってくれるんだったかな。
あの人なら、口は堅そうだし、話してみようかな。
とにかく誰でも良いから聞いて欲しくて、これから会うだろう人をその相手に選ぶ。
だけど、現実は上手くいかないものだった。
支度を終えた頃に、スマホに入っていたメッセージ。
急用で来れない事と、代理で送ってくれる人を寄越した事が、記されている。
ちょっと、待て。
私は、事故だのストーカーだの、トラブル続きで色々な問題を抱えているから、下手に人に家を知られてはいけない。
分かっている筈なのに、何で他の人に託したんだろう?
黒尾さんが信用している人であっても、私もその人を信用するとは限らない。
代理の人を断る旨だけ返信して、仕方無く一人で帰る事にした。