第23章 4回目
シンデレラの番組、4回目の撮影日。
今回が終われば、次のシンデレラ撮影は最終回。
それは、毎年の事だけど生放送だ。
つまり、先に収録するのはこれが最後。
NGを出しても、撮り直しが出来るのも、最後。
最後って言葉ばかり考えていると、少しばかり淋しくもなってくる。
だからって、落ち込んではいられず、毎回の事ながらある挨拶回り。
タレントさんとか芸能人の元を先に回って、最後は光太郎達の所に行く。
あの2人は、私の進捗を語る為に最終回までレギュラーらしい。
慣れた相手だし、いい加減この楽屋って雰囲気にも緊張しなくなってきていたから、気楽な気持ちで2人の部屋の扉を叩いた。
扉を開けたのは、いつも通りの光太郎で、相変わらずの調子で私に抱き着こうと腕を広げている。
「光太郎、毎回の事だけど、ソレ止めてよ。変な誤解招くから。」
抱き締められないように一歩下がり、わざと落ち込ませようと冷たく声を出した。
「なんだよー!じゃ、赤葦とのお泊まりはゴカイじゃねーって…っ!」
言い返すような、光太郎のバカデカい声。
内容が不都合なもので、焦ったけど、後ろにいた京治くんに口を塞がれて止まっている。
それでも、真横に控えていた縁下さんには聞かれていて。
「大熊さん。どういう事かな?」
無言を許さない、怖い言葉が降りてきた。