第22章 食レポ
いつも通りなら、食事が終わった頃にスタッフが戻ってきて撤収になる。
旅番組で旅館紹介するのに泊まらないってどうよ、とか初めの頃は思っていたけど、それは大人の事情という予算の都合。
私やゲストの出演料から取材費用でいっぱいいっぱいの番組らしい。
それに慣れてしまっていたから、今回もそろそろスタッフが帰ってくると思っていた。
だけど、中々戻ってこない。
「風呂でも入ってきたらどうですか。」
「撮影でもないのに使えないでしょ。それに、この番組の撮影って、いつも日帰りだよ?迎えが来ちゃうって。」
勝手を知らないらしい京治くんから、時間潰しの提案を貰ったけど、旅館内をウロウロする訳にはいかなかった。
断るように首を振ると、不思議そうに眉を寄せる姿が目に入る。
「聞いてないんですか。」
「何を?」
「この部屋、俺が個人で予約してるんで、泊まりっすよ。因みに、スタッフは一足先に帰ってます。」
「え…と。どういう状況かな、コレは。」
「この部屋、泊まりで予約しています。スタッフは帰っているので迎えは来ません。帰るのは、明日になります。」
同じような事を何回も言われている気がするけど、どうしても頭がついていかなかった。