第22章 食レポ
ちゃんと反省して、周りの皆に頭を下げる。
少し落ち着いてから再開された撮影は、今度こそ止める事なく最後まで終了した。
料理は一口ずつしか食べずに残っている。
いつもなら、スタッフが撮った映像の確認やらで退室した後に美味しく頂くんだけど、今日からはしない。
完全に食べる事を諦めて箸を置いた。
「…残したら悪い。それに俺は賛成です。流石に2人前は無理なので食べて下さい。」
目の前で食事をしながら、視線で箸を持つように示す京治くん。
そんな事をされても、迷って箸を取れなかった。
「大丈夫です。何の為に、アンタの食べ残し食ってたと思ってるんスか。間食の量を減らす為でしょう。
それに…。」
どうしても私に食べさせたいみたいで、この食事で摂れる栄養の説明だとか、大体のカロリーを計算した数字だとか、つらつらと並べられる。
私の為に、そこまで考えて行動してくれていたなんて知らなかった。
なら、それに応えないのも悪い。
「そっか。なら、いただきます。」
箸を取り、口に料理を運んだ。
美味しいのは元より、満足するまで食事をしていいのが嬉しいのもあって、自然と笑みが零れる。
京治くんは、次々と料理を平らげていく私を見て、怒るどころか少しだけ笑っているように見えた。