第4章 二次会は3人で…
バーカウンターに3人並んで座る。
本日のメインは私という、いらない気遣いのお陰で私は2人の間である。
「じゃあ、大熊のこれからに、乾杯。」
声を発しているのは澤村さんだけ。
軽くグラスを掲げ、会釈をして口を付ける。
「どうしたんだ?お前等は。会社では普通に話してただろう。」
会話のない私達に、なんとか喋らせようとしている。
そりゃ、業務に必要な会話はしていたけど、雑談なんかした事もないような気がするし、話題が思い浮かばない。
「別に話す事なんてないんで。」
「コラ、月島。」
「僕、会社の人間とプライベートな付き合い求めてませんし。」
私が黙っていると、両隣の2人は勝手に会話を始めた。
ただ、その内容は穏やかなものではない。
月島さんって、上司にこんなに突っ掛かっていくタイプだったのか。
それとも、そんなに私がいるこの場が嫌だったのか。
後者な気がして、早くも逃げ出したい気分だ。
「あの、私。そろそろ帰ります。」
つい、その気持ちが口から出て、席を立とうとしたけど。
「あ、あぁ。遅くまで引き止めて悪かったな。タクシー呼ぶから、少しだけ待ちなさい。」
澤村さんに、手を掴まれて行動を制止された。