第4章 二次会は3人で…
送別会が終了し、後は個別に飲むのか、皆が別行動を始める。
先も説明した通り、特に親しい人もいない私は帰ろうとしたけど。
「…大熊。まだ、時間は大丈夫か?」
澤村さんに声を掛けられた。
その隣には月島さんがいる。
「お前の送別会なのに、あまり話せなかったからな。良かったら、一杯ご馳走させてくれ。」
やっぱり、この人は出来た上司だ。
頷こうとしたけど、隣の人が気に掛かってしまって視線を向ける。
「あぁ、月島も勿論一緒だ。営業と補佐、二人三脚でやってきた仲だろう?」
説明してくれた顔は、爽やかに笑っているように見える。
でも、何と無く拒否を許してはくれない気がした。
と、いうか。
なんで月島さんは逃げないんだ、と思ったけど。
それは、澤村さんに腕をしっかり掴まれているからだった。
「僕、明日は直行の予定が…。」
「お前、営業に配属されてから数年間世話になったんだから、お礼くらいちゃんとしなさいよ。」
最後の抵抗とばかりに発した月島さんの言葉は、あっさりとスルーされている。
私の方も月島さんといるのは、やっぱり気まずい。
そんな私達の心境など知らず、澤村さんに連れられてバーに行く事になった。