第22章 食レポ
自分の、見せるべき姿が分かってきて。
世間様に見られるのだから、って無駄に綺麗に、格好つけて映るのは止めにした。
そのお陰か、増えたオファー。
中でも、旅番組系が物凄く多かった。
何でも、一般人の感覚で飾らずに人と話をしているのが好感触らしい。
相手も、限りなく一般人に近い私だからこそ話しやすいようで。
枠に収まらないくらい、色々と話してくれるから編集は大変みたいだけど。
芸能人と関わるより、一般人と関わっていられる撮影は結構好きだ。
でも、そんな中でも困る事は勿論ある。
それは…。
旅番組に付き物の食レポである。
語彙力が無くて、同じような事を毎回言うのは、まぁ仕方がない。
寧ろ、私の‘美味しいです’って、ありきたりな感想が喜ばれているくらいだ。
下手に食感とか、味について何か言っても視聴者は食べた事が無ければ分からないもの。
だから、感想を言ったりするのはいいとして、問題は…。
「りこさん。アンタ、また完食したんスね。食事制限して今の体型保ってるの、忘れてませんか?」
「だ、だって残したら悪いし…。本当に美味しかったんだもん。」
「だもん、って…。木兎さんと同じような、子どもみたいな発言しないでくれますか。」
この、栄養管理士様が厳しい事。
約束である、写真を撮って送る作業は今も続いていて。
完食した事を報告する度に、この調子のお説教をくらっていた。