第21章 ドッキリ
休憩らしい休憩を取らせて貰えないまま、ドレス姿で元々使っていたスタジオに戻る。
さっきの一部始終はリアルタイムでこちらに流れていたようで、拍手と共に再入場の形になった。
そして、地獄のような時間が始まる。
私の驚いた顔や、意味が分からず混乱している顔。
そういう、変な顔をしている所ばかり何回も流されてはネタにされる。
こういう世界に慣れてきたとはいえ、芸人としてやってきた訳じゃないから、表情を笑われるのは女として辛い。
だからって、怒るのも泣くのも、収録を止めてしまう事に繋がるから出来なかった。
顔だけは何とか笑って、耐え続けた数時間。
収録が終わり、共演の方々に挨拶をするまでは、我慢して、やっと戻ってきた楽屋。
今日は一刻も早く、家に帰りたくて、さっさと着替えと支度を済ませる。
社長や、縁下さんに話し掛けられたけど、仕掛人サイドだったから信用出来くて、無視をしていた。
それでも、後ろからついてくるし、意地になってしまい、足を早めてテレビ局から出る。
いつもなら、階段である筈の場所を降りようとした時、有り得ない板のような感触がして…。
バリッと、何かが割けるような音が聞こえた。