第21章 ドッキリ
ホント、マジ、何も聞いてないです。
誰かタスケテ。
何すりゃ良いのか分からない。
つい、キョロキョロと周りを見回していると聞こえてくる足音。
そちらを向いても、薄暗くて誰かは確認出来なかった。
目の前で足音が止まり、そこにもスポットライトが当てられる。
そこには、床に膝を着いた王子様衣装のリエーフが居た。
「りこ、踊ろーよ。」
差し出された片手。
どうすれば良いか分からないなら、ノっておいた方が良いかな。
なんて、安易な考えで手を重ねた。
社交ダンス、やった事がないから後悔するのは目に見えているけど、固まったままよりマシだと思う。
リエーフが私の手を握って立ち上がると、照明が再び点いて、音楽が流れ始めた。
曲に合わせて、リエーフがリードしようとしてくれるけど、簡単に踊れるものでもなく。
更に、身長差がありすぎて引き摺り回されているだけになっている。
曲の終わり、最後の決めポーズらしいものすら、訳が分からず取れなくて。
目をパチパチと瞬かせていると、スタッフらしき人がくす玉を運んできた。
それに付いている紐を握らされて、やっと気付く。
これも、多分ドッキリだ。
溜め息を吐きながら、紐を引っ張ると中から出てきたのは…。
【ドッキリ大成功!】
予想通りの文字が書かれた垂れ幕だった。