第21章 ドッキリ
変な事に気付いたのは、案内された部屋が楽屋というよりは別のスタジオだったから。
代わりに用意するような場所ではない。
何かしら、ドッキリ番組の延長のようなものがある事を覚悟して扉を開ける。
中には、前にも見た事があるような舞踏会風のセット。
リエーフと、初めて会った時の撮影に使われていたものと酷似している。
足音が聞こえて、そちらを振り向くと…。
「…社長?」
「魔法使いだぜぃ。シンデレラ。お前に魔法を掛けてやる。」
いや、格好としては全身真っ黒で、マントみたいなのまでしているけど、どうみてもうちの社長、照島さんで。
何をやるのか訝しんでいる内に手を引かれた。
セットの脇、パーテーションで仕切られた場所に連れて行かれると置いてあったのは…。
本家シンデレラを思わせる、薄い青のドレス。
更に、メイクさんも待機していた。
あれよあれよという間に、着替えとメイク直しをされて、完成形だろう姿に。
金髪のウィッグまで被せられたから、遠目で見たら本当のお姫様に見えるんじゃないだろうか。
近くで見たら、元が私なもので、アレだけども。
その状態で、また社長に手を引かれて今度はセットの中へ。
社長がセットから出ると、照明が薄暗く落とされて、私にスポットライトが当てられた。