第21章 ドッキリ
このドッキリ番組の収録があると知らされたのは、寝起きのアレを撮られてから数日後。
昨日だと言うのだから急すぎる事もまたドッキリだ。
まぁ、うちの社長の事だから、知らせない方が面白れーじゃん?なんて理由で、伝えるのを先伸ばしにしてたんだろうけど。
いい加減、そういう事をされるのにも慣れてしまったもので。
オフと言われても予定は入れないようにしていたから、問題はない。
大体、メインは私じゃないから心の準備がどうこう文句も言う意味も無かった。
そこまで注目されねーよ、って言われたし。
思い出して、軽く苛々としながら他の人のVTRを眺めていた。
たまに、司会者から話を振られるから、相槌を打ったりコメントをしたりで忙しくなり。
社長がイラつくって事ばかりも考えていられなくなるまでに時間は掛からなかった。
数時間で途中までの収録が終わり、休憩に入る。
楽屋で一休みしようと、スタジオから出ると縁下さんが待っていた。
「大熊さん。申し訳ないんだけど、楽屋にトラブルがあったみたいなんだ。
別の部屋を用意してくれたみたいだから、そっちで休憩して貰えるかな?」
案内するように先を歩く縁下さん。
その後ろを疑いもせずに着いていった。