• テキストサイズ

【HQ】1年シンデレラ

第3章 退職


出勤する、最後の日。
私がいた営業部では、送別会をしてくれた。

私が一応は主役な訳だけど、単に飲み会の理由にされただけのようで。
普段から地味に生きて、特に仲の良い社員なんかいなかった私は完全にオンリーの状態だった。
別に、ちやほやされたい訳じゃないけど、数年でも勤めた会社だから、誰にも相手されないのは淋しい。

独りで、ちびちびとお酒を飲んでいると隣に気配。
空いていた筈の、私の横に営業の月島さんが座っていた。
何を隠そう、この彼が、私をブスだと言った張本人である。

「君、さ。」
「はい?」
「僕の所為で辞める、とか?そうゆうの、しないでくれる?」

いや、確かにきっかけではあるけども。
フラれただけで、生活掛かってるのに会社を辞める訳がない。

たまたま、1年シンデレラに選ばれた。
別に、仕事を辞める必要はないと言われた。

「別に、月島さんの所為じゃないので気にしないで下さい。」

辞めると決めたのは、私。
誰の所為で、じゃない。
自分の為に、だ。

首を振って否定を示す。
多分、これから先は関わる事のない人。

テレビで、少しでも有名になった私を見て後悔してくれたら、それでいい。

それ以上は会話をするでもなく、時間だけが流れていった。
/ 243ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp